Alberto Ginastera: ESTANCIA Discography

ヒナステラ: バレエ「エスタンシア」ディスコグラフィー

<その1. 組曲版のCD>

新入荷盤以外は上から録音の古い順に並んでいます。

なお、組曲の構成は以下の通りです。

I. Los trabajadores agricolas(農園で働く人々)
II. Danza del trigo(小麦の踊り)
III. Los peones de hacienda(大牧場の牛追い人)
IV. Danza final - Malambo(終曲の踊り-マランボ)

GIANANDREA NOSEDA
Joven Orquesta Nacional de Espana (JONDE)
1998, Zaragoza
I. 3:04
II. 2:52
III. 1:56
IV. 3:40

 指揮のノセダは、日本でも実演に接する機会の多い、次世代を担う若手注目株。それが指揮するのが、日本語に訳すと「スペイン国立青年管弦楽団」。青年っすよ、青年。若さとエネルギーに溢れた熱い「エスタンシア」が期待される組み合わせです。
 で、実際聞いてみても、やっぱり期待通りの佳演です。 青年といっても、技術面は非常に安定しており、弦も管も安心して聞くことができます。やっぱり若い演奏家には、老人趣味の古典なんかよりも、こういう派手でエネルギッシュな熱い曲があっているんでしょうねえ。取り立てて言うほどの強い特徴はないものの(あ、でも二曲目「小麦の踊り」が超速い、というのは大きな特徴か)、誰もが楽しめる演奏となっています。カプリングの珍しいバレエもなかなか面白い曲で、南米音楽マニアにはお勧めです。
 ただし!一つだけ残念なことが。終曲「マランボ」の最後のほうで、Timp がまるまるワンフレーズ落ちる(演奏すべき部分を演奏しない)という事故あり!一瞬、曲が止まってしまったかと聞いている方がドキッとするような、かなり目立つミスでした。まあしょうがない。「若さゆえ〜」の過ちとして許してやりましょう(でもこのぐらい、もう一度録音し直せばよかったのになあ)。

その他の収録曲
・モンポウ/モンサルバーチェ:バレエ「ドン・ペルリンプリン」

[TRITO TD0007]
JOSEP PONS
Orquesta Ciudad de Granada
2002, Granada
I. 3:04
II. 4:58
III. 1:49
IV. 3:47

 こちらはスペインはグラナダのオケが演奏するヒナステラ作品集。有名な「エスタンシア」や「ハープ協奏曲」だけでなく、ちょっとマイナーなヒナステラの曲がどんどん世に出てくれるのは、本当にうれしいことです。
 演奏は・・・・正直言って、オケはあまり上手くありません。特に管楽器の音色がやや荒れ気味で、聞いててちょっと苦しい感じかな。全体の特徴としては、全ての音を譜面よりも短く切っているような感じで、リズムの歯切れはいいのですが少し普通の演奏とは違った違和感がありました。
 所々、指揮者の工夫が見られるところがあり、これがなかなか面白いです。例えば一曲目にHrなどに現れる短い音のクレッシェンド、全部大げさなfpからのクレッシェンドで演奏していて、なかなか個性的。
 そして、この演奏の極めつけは何と言っても第二曲「小麦の踊り」。まずこの遅さ!この演奏時間!あと2秒で5分台突入という最長記録です。このテンポの中で、テンポの揺らし方、フレーズの区切り方、強弱の付け方等、細部にわたってものすごくこだわった解釈を見せています。特にFl、Hrに現れるエコーを模した部分の最弱音のこだわりは感動的です(^^)。オケの技量がこれについて行っていないという感じも確かにしますが、なぜこれほどまでに「小麦の踊り」にこだわるかっ?!ということで、この指揮者には「小麦の踊り賞」を与えたいと思います(なんじゃ、そりゃ?)。

その他の収録曲
・ヒナステラ:ハープ協奏曲
・ヒナステラ:クリオールのファウスト序曲
・ヒナステラ:協奏的変奏曲

[harmonia mundi HMC 901808]



Sir EUGENE GOOSSENS
London Symphony Orchestra
1958, London

I. 2:44
II. 3:40
III. 1:47
IV. 3:37

 録音は古いのですが、"Super Bit Mapping"なる技術によって、けっこうきれいな音になっています。
 I曲目がけっこうスピード感があってかっこよく、「お、これはけっこうイケる演奏ではないか?」と期待させます。が、IV曲目にくるとトランペットがヘロヘロになってしまいます。聴いていておもわず「がんばれ〜」と声をかけたくなるぐらい。III曲目にホルンのフライングあり。

その他の収録曲
・ヴィラ=ロボス:カイピラの小列車
・アンティル:コロボリー組曲
・ヒナステラ:パナンビ組曲

[EVEREST EVC9007]

SEIJI OZAWA
Chicago Symphony Orchestra
1967, Chicago

I. 2:50
II. 3:23
III. 1:53
IV. 3:26

 シカゴ響100周年記念CDです。12枚組BOXで、手を出すのにとっても勇気がいりますね。日本のタワレコだったら四万円以上するそうですが、シカゴ響のホームページから直接買えば半額以下になりますので気をつけましょう。ちなみに私はアメリカの義母にクリスマスプレゼントとして買ってもらいました(笑)。
 この小澤のエスタンシアは、ラヴィニア音楽祭のライブ。いろんな意味でなかなか面白い演奏です。まず、やはりシカゴ響は巧い!特にパワーが強烈です。金管や打楽器の炸裂は言うまでもなく、木管や弦も負けじと対抗して、非常に迫力のある熱い演奏を作っています。各パート、技術的にも余裕が感じられます。ただし、これはあくまでも奏者個人の技量についてで、アンサンブル的に言うと「?」という部分も多々ありますが(I曲目に崩壊寸前の箇所あり^^;)。
 特徴的なのはIV曲目「マランボ」の解釈。まず最初遅めのテンポで始まって、曲の最後に向かってどんどん加速していきます。このテンポ設定の中でしかし、最後のマランボの部分で時々挿入される付点四分の「ジャンジャン」の所だけ(毎回)急にテンポを落とし、次の小節からまた速いテンポに戻るという、ぶっ飛びのトンデモ的解釈になっています。はじめ聞いたときは「なんじゃあ、こりゃあ?」と驚きましたが、慣れてくるとなかなか興奮モノです(^^)。しかし、小澤ってこんなヤツだったのか!(あるいは「若気の至り」ってやつか?^^;)

その他の収録曲
・いろいろな指揮者による、シカゴ響の歴史的名演の数々(詳細は略)

「Chicago Symphony Orchestra:
The First 100 Years」
[CSO90/12]

MORTON GOULD
London Symphony Orchestra
1979, London

I. 2:53
II. 3:27
III. 1:49
IV. 3:47

 10年前はエスタンシアをCDで聴こうと思ったらこの録音しかありませんでした。しかし演奏はさすがグールド、ノリノリで盛り上げてくれます。この曲の定番中の定番と言える名演です。特にIV曲目のトランペットがすっごいかっこいいです。
 ちょっと聴くと、ティンパニやホルンが間違っているように聞こえるところもありますが、パート譜の違いによるものだと判明しました(でも明らかにティンパニが間違えて入るところもあり^^;)。
 ←の国内版は現在はたぶん廃盤なので、インターネットで海外版を探しましょう*。ちなみにこれのアルバムタイトルは「ボレロ◎驚異のオーケストラ・サウンド」だ!(怪しい....)

(*現在、CITADELというところから、モートン・グールド作品集とのカプリングで出ているようです。[CTD88130])

その他の収録曲
・ショスタコーヴィチ:祝典序曲
・ラヴェル:ボレロ
 ほか

「ボレロ◎驚異のオーケストラサウンド」
[ビクター VDC-1048]


ENRIQUE BATIZ
Orquesta Filarmonica de la Ciudad de Mexico

1989, Mexico City

I. 2:55
II. 4:31
III. 1:55
IV. 3:20

 いわゆる「キレてる系」に分類される演奏と言えるでしょう。まず大太鼓の音のデカさに驚きます。でもこれぐらいやってくれると快感に感じます。ピアノもかなりデカいです。
 全曲を通して、テンポの緩急のメリハリがはっきりしていて気持ちがいいです。II曲目は非常に遅く、IV曲目のマランボは無茶苦茶速い。この速さでピアノが不協和音をピコピコ全開でやってるところに打楽器がドカドカ加わりますので、なんだかわけが分からないけどすっごく興奮できる演奏です。初めて聴くとたぶん「...変な曲」で終わってしまうおそれがあるので、無難な演奏を聴いてから手を伸ばしましょう(^^;)。

その他の収録曲
・ヒナステラ:ハープ協奏曲
・ヒナステラ:ピアノ協奏曲

[ASV CD DCA 654]


PEDRO IGNACION CALDERON
Orquesta Sinfonica de Buenos Aires

1990, Buenos Aires

I. 3:05
II. 3:01
III. ---
IV. 3:53

 この曲唯一の「お国もの」演奏。指揮者もオケも、アルゼンチンの演奏家。故郷の大作曲家ヒナステラの代表曲である「エスタンシア」はこのオケの十八番(おハコ)!とふつうは思うでしょ?残念ながら、はっきり言って「下手」です(爆)。打楽器は特に下手。しかも終曲で、最後のほう曲がまだまだ続くのに、木琴が一人で終わりのリズムを「チャンチャチャチャン」とデカい音で叩いてしまい、間違えたのに気づいてやめるけどそのままなかなか立ち直れない、という場面がしっかり収録されています。おいおい....。
 あと、なぜかIII曲目がカットされてます。まさか下手すぎて変拍子ができないってわけじゃ....!?(ちなみに、この指揮者がアルゼンチン国立響との来日公演でこの曲を演奏したときも、やっぱり三曲版でした)。

その他の収録曲
・ピアソラ:タンガーゾ
・ピアソラ:三つのタンゴ
 ほか

[MILAN SUR 883 745]

ENRIQUE GARCIA ASENCIO
Orquesta Sinfonica de RTVE

1991, Madrid

I. 2:56
II. 3:41
III. 1:50
IV. 3:40

 この演奏、かなりかっこいいです。今のところ、私が(グールドと並んで)もっとも気に入っている演奏です。全体的にリズム感が良くて、決めるべきところがバシッと決まっているのでとっても気持ちがいいです。
 でも単なるうまい演奏というのではなく、これに加えて見得を切ったような芝居がかった効果付けが要所要所になされていて、「おおっ、やってくれるじゃん」という感じで絶品。たとえばI曲目のホルンのクレッシェンドとか、IV曲目の「ぱおっぱおっ」という装飾音の強調の仕方とか聴いてて思わず笑みがこぼれます。
 ついでながら、このCDに収録されたヴィラ・ロボスの「ショーロス第10番」はすばらしい名演!M.T.トーマスの有名盤で満足してる場合じゃないぞ。

その他の収録曲
・チャベス:交響曲第2番(シンフォニア・インディア)
・ハルフテル:ヴァイオリン協奏曲
・ヴィラ・ロボス:ショーロス第10番

「MUSICA IBEROAMERICANA」
[RTVE 65029]


MICHAEL TILSON-THOMAS
New World Symphony Orchestra

1992, Florida

I. 3:02
II. 3:58
III. 1:53
IV. 3:52

 「タンガーゾ〜ラテン・アメリカ管弦楽曲集」というこのアルバム、国内廉価版で安く出ているので、「エスタンシア」の録音中もっとも日本で入手しやすいと思います (探すときは「ピアソラ」で探すのがコツです)。
 演奏の方は、とっても教科書的?ともかくまずは安心して聴いていられます。崩壊しそうになる箇所もないし、各楽器とも自分のパートを無難にこなしているし。ファーストチョイスとして良いかもしれません。でも、クールすぎてちょっと面白くないかも。個人的にはもっと派手に盛り上げてほしいんだけどなあ。IV曲目の金管のグリッサンドとかほとんどやってなくて「あれれ」って感じ。羽目ははずさないけどまあいい演奏であることは確かです。

その他の収録曲
・チャベス:交響曲第2番(シンフォニア・インディア)
・レブエルタス:センセマーヤ
・ピアソラ:タンガーゾ
 ほか

「タンガーソ〜ラテンアメリカ管弦楽曲集」
[ポリグラムLONDON POCL-5299]

ANDRZEJ BOREJKO
Poznan Philharmonic Orchestra

1993, Poznan

I. 3:16
II. 2:57
III. 2:07
IV. 3:44

 ロシア出身の指揮者がポーランドのオケを指揮した「エスタンシア」。そのためなのかもしれませんが、ううむ、なんかちょっと毛色の変わった演奏です。I曲目は遅めのテンポ、だけど縦線ずれまくり。II曲目はかなり特徴的で、とっても速いテンポでまるでワルツのよう。まあIV曲目はわりと盛り上がれます。
 ライブ録音なので、音の感じも他の演奏とはかなり違った雰囲気が味わえます。

その他の収録曲
・ヒナステラ:オジャンタイ
・ヒナステラ:パナンビ

「ARGENINA」
[LARGO 7243 5 56637 2 6]

GABRIEL CASTAGNA
Berliner Symphoniker

1994, Berlin

I. 3:19
II. 4:01
III. 2:02
IV. 4:02

 こちらはアルゼンチン出身の指揮者ですが、オケはベルリン交響楽団。全体的に遅めのテンポで、IV曲目は4分を越えています。
 この演奏のI曲目、大太鼓が最後まで間違ったリズムを叩き続けます。1、2小節目と3小節目は違うんだぜっ。おんなじように叩いちゃいかんよ〜。
 個人的には、この演奏のII曲目はけっこう好きです。弦が入るところで急に大きくしないで、スコアの指示通りに、じわじわと少しずつ盛り上げていく演出はなかなかいいです。
 あと、アルバム全体の収録曲が「ヒナステラ管弦楽曲集」という感じでとってもナイスですね。

その他の収録曲
・ヒナステラ:クリオールのファウスト序曲
・ヒナステラ:管弦楽のためのパンペアーナ第3番(三楽章の田園交響曲)
・ヒナステラ:パブロ・カザルスの主題によるグロッソ

CHANDOSから2003年8月に[CHN 10152]として発売された盤も、これと同一音源です。

[Deutshe Schallpkatten DS1033-2]


FERNANDO LOZANO
Orquesta Sinfonica Carlos Chavez

1994,

I. 3:18
II. 3:48
III. 2:08
IV. 4:02

 ↑の演奏と並んでIV曲目マランボが4分台という遅い演奏。やはり縦線があまり合わず、リズム感がイマイチ。全体的にフニャフニャした歯切れの悪さが印象に残ります。「カルロス・チャベス交響楽団」という名前に非常に期待したんだけどなあ。
 まあ、その他の収録曲がなかなか珍しいラテンアメリカ曲集なので、まあ良しとするか(なんのこっちゃ?)。

その他の収録曲
・マルケス:宇宙の主題による風景
・ファリニャス:六つの単純な音
・エンリケス:ラテンアメリカ狂詩曲
 ほか

「MUSICA LATINOAMERICANA」
[FORLANE CD 16736]

EDUARDO MATA
Simon Bolivar Symphony Orchestra of Venezuela

1994, Caracas

I. 3:11
II. 3:06
III. 2:04
IV. 3:54

 前二者ほどではないものの、これもけっこう遅めのテンポ路線。録音がいいのでしょうか、オケの各パートが良く聞こえます。練習用にはいいかもしれませんね。特に弦楽器。この曲の弦楽器なんて「何やってるの?」って感じかもしれませんが、この演奏でははっきり聞こえてきます。IV曲目の低弦の「ズザザザザザ」という刻みなんか実にかっこいいです。III曲目も、ティンパニソロと重なるところで弦が主張し、こっちの方が全面に出ています(逆に言うと、ティンパニはかなり情けない....^^;)。
 なお、南米の音楽を積極的に紹介し続けたこのエドゥアルド・マータが飛行機事故で1995年に亡くなってしまったのは、南米音楽ファンとして実に惜しいことだと感じずにはいられません。

その他の収録曲
・ヴィラ・ロボス:ウイラプル
・チャベス:馬力組曲
 ほか

「LATIN AMERICAN BALLETS」
[DORIAN DOR-90211]

ENRIQUE DIEMECKE
Orchestre Philharmonique de Montpellier Languedoc-Roussillon

1997, Montpellier

I. 10:46
II.
IV.

 南フランスの地元オケが「南アメリカの歌と踊り」という副題で行ったニューイヤーコンサート(なぜ南米モノ??)のライブ録音。これもIII曲目が抜けてて、I、II、IVが一つのトラックに収録されています。
 正直言って、オケはかなり下手です(^^;)。はじめ「もしかしたらアマチュアオケか?」と思ったぐらい。終曲の木琴なんかミスタッチ全開だし、オケは崩壊しそうになる箇所多数....。一般の方は敢えてこの録音に手を出す必要はないでしょう。
 この録音の聞き所は、なんと言ってもII曲目のフルートソロの出だし部分。ドラド〜というフレーズのはじめの2音のでおもいっきり「タメ」を作っています。これを聞いたとき、「ああ、この一瞬だけでもこのCDを買った甲斐があった!」と思いました(爆)。
 演奏はともかく、お客さんはかなり熱狂しています。あと、終曲の時に何か、かけ声か叫び声のようなものが入っているような気がします(演出?興奮した客の声?)。やっぱ変な演奏!

その他の収録曲
・モンカーヨ:ウアパンゴ
・ローサス:波濤を越えて
 ほか

「ACTES SUD - Concert du Nouvel An」
[naive AT34104]
DAVID ROBERTSON
Orchestre National de Lyon

2000, Lyon

I. 3:05
II. 2:50
III. 1:42
IV. 3:44

 久しぶりに出た組曲板の新譜です。ジャケットの感じからすると、メインはIsabelle Morettiがソロをつとめるハープ協奏曲でしょうが、この「エスタンシア」組曲の方もなかなかの演奏に仕上がっています。
 全体的に、アンサンブルがかなりバシッと決まっていて、気持ちいいですね。6/8拍子の様々なリズムパターンでも、ほしいところにしっかりハマった音が入って、安心して聞いてられます。II曲目とIII曲目はかなり早めの演奏ですが、乱れを感じさせることなく演奏しています。
 I曲目の終わりのTimpソロとか、III曲目の最後の一発とか、大見得を切ったような迫力もなかなかいけます。しかし、IV曲目「マランボ」は、はじめの3曲から期待したほどは盛り上がらなかったかなあ。たぶんHrとTpの金管セクションが、かなり冷静っぽいからでしょう。あと、惜しむらくは、ところどころに「落ちている?」と思われる部分が散見されること(I曲目の大太鼓とか....聞こえないだけなのかもしれませんが)。
 ま、全体的に見れば、「大人だねぇ」って感じの演奏かな(我ながらやや意味不明^^;)。あと、このCD、録音がかなりいいと思います。いろんなパートの音がはっきりとよく聞こえて、とくにハープ協奏曲ではソロや各種打楽器なんかが「こんなことやってたのか」って感じで聞こえるので、その辺も楽しめるでしょう。

その他の収録曲
・ヒナステラ:ハープ協奏曲
・ヒナステラ:パブロ・カザルスの主題によるグロッソ
・ヒナステラ:パナンビ

[naive V4860]
JAN WAGNER
Odense Symphony Orchestra

2001, Odense

I. 3:09
II. 3:32
III. 2:13
IV. 3:55

 なぜデンマークのオケがヒナステラ作品集を?という感じですが、このオケの首席指揮者ワーグナーはヴェネズエラ出身とのこと。なるほど。
 「エスタンシア」は特に可もなく不可もなく....といった感じの演奏でしょうか。全体的に遅めのテンポ設定で、ノリや興奮というよりも、どちらかというと堅実派の演奏という印象を受けます。ダイナミクスの付け方にちょっとした細工の見られるところがあり、特に短いフレーズでのクレッシェンドとデクレッシェンドが所々に出てくるので、一般の演奏とはやや違った印象を受ける箇所もあります(例えば「小麦の踊り」の弦の旋律の部分とか)。こういうのを聞くと、やはりクラシックって面白いなあと思います。Timpが最後の最後でコケるのは御愛嬌(^^;)。
 あと、この盤の価値はやはり選曲にあるでしょうね。ヒナステラの管弦楽曲ばかりを集めたことも貴重ですが、特に競合盤のほとんどなかった曲がいろいろな演奏で聴けるようになるのはとても有り難いことです。また、「オジャンタイ」と「パンペアーナ」の組み合わせは、交響曲を書かなかったヒナステラのシンフォニストとしての一面に焦点を当てているようで、そうした部分に注目してこのCDを聴いてみるのも面白いかもしれません。

その他の収録曲
・ヒナステラ:「クリオールのファウスト」序曲
・ヒナステラ:オジャンタイ(三つの交響的楽章)
・ヒナステラ:パンペアーナ第3番(三楽章の田園交響曲)

[BRIDGE 9130]
MIGUEL HARTH-BEDOYA
BBC Concert Orchestra

2002, London

I. 3:11
II. 3:26
III. 1:59
IV. 3:42

 BBC Music Magazine(2003年2月号)のおまけに付いてくるCDで、2002年夏のPROMSのライブです。個人的な話ですが、実はこの演奏会、ちょうどその二週間前に英国出張があり、がんばってロンドンでこれを聞いてこようかと画策したのですが結局ダメだったといういわくがあります。
 さてその演奏ですが、うーむ、第一曲はいったいどうしちゃったんでしょう。ホルンはヘロヘロだし、トランペットが入りを間違えて崩壊しそうになるし、ティンパニは途中わからなくなって演奏をやめちゃうし、最後の7拍子の小節はいったいいくつ音があるんだ?というぐらいみんなバラバラ(笑)。
 でもまあ第二曲以降からだんだん調子が出てきます。第三曲、第四曲はかなり速めのテンポ設定で盛り上げます。第四曲マランボは、バティス盤並みの速さです(演奏後の拍手を抜いた実際の演奏時間は3:20)。オケも次第にノッてきて、各パートの「ふっきれた」感じが伝わってきます。特にティンパニ。アドリブでクレッシェンドをつけてたりとか、思わずニヤリとします。また最後の12小節間でオケ全体でクレッシェンドをかけているのも結構興奮を誘う解釈となっています。相変わらずヘロヘロな部分も多くありますが、まあライブならではのノリと曲の性格に助けられたと言えるのではないでしょうか。
 ということで、もしホールで実際にこの演奏を聴いていたら、かなり満足できたのではないかなあと思いました。聴きに行けなくて残念!

その他の収録曲
・モンカーヨ:ウアパンゴ
・ファリャ:7つのスペイン民謡
・ピアソラ:タンガーソ
ほか

「Fiesta! BBC Music Magazine vol.11 no.6」
[BBC MM 226]

 

ディスコグラフィー その2. <全曲版のCD>

ディスコグラフィー その3. <終曲「マランボ」のみのCD>

ディスコグラフィー その4. <ピアノ版のCD>

ディスコグラフィー その5. <吹奏楽編曲版のCD>

ディスコグラフィー その6. <その他の編曲版のCD>

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