Alberto Ginastera: ESTANCIA Discography

ヒナステラ: バレエ「エスタンシア」ディスコグラフィー

<その3. 終曲「マランボ」のみのCD/DVD>

組曲版でいうIV曲目、"終曲の踊り「マランボ」"のみを録音した演奏もいくつかあります。

ARTHUR FIEDLER
Boston Pops Orchestra

1958,

IV. 3:33

 アーサー・フィードラー&ボストン・ポップスといえば、この手の曲には打ってつけの黄金コンビ。どうして終曲だけなのか、残念すぎますよねえ。
 彼はこの曲のアメリカ初演者でもあり、また毎年冬にはアルゼンチンでコンサートを行っており、この「マランボ」はボストン・ポップスのアンコールの定番曲だったとのことです。「Fiedler at the Ballet」というタイトルの、チャイコやバーンスタインなどの有名曲も集められたこのCDで、敢えて「マランボ」で最後を飾るなんざあ、巨匠のこだわりが感じられますぜ!
 もちろん演奏もノリノリで、アンサンブルの乱れはあるものの、それがあんまり気にならないぐらいの興奮度。特に、なんと言っても木琴がすばらしすぎ。グリッサンドの妙技がしっかり聞こえて、感心感心です。ううん、つくづく全曲入れてほしかった!

その他の収録曲
・チャイコフスキー:「眠れる森の美女」ワルツ
・ファリャ:「三角帽子」より
・ビゼー/シチェドリン:「カルメン組曲」より
  ほか、バレエ音楽の小品いろいろ

「FIEDLER AT THE BALLET」
[BMG 09026-62577-2]

ENRIQUE BATIZ
Festival Orchestra of Mexico

1993, Mexico

IV. 3:09

 またバティスがやってくれたぜ(^^)。彼の89年の組曲版(ASV)でもすでに「キレてる系」の無茶苦茶速い興奮の演奏を聞かせてくれましたが、これはそれよりもさらに速い!もうちょっとで3分の壁を切るかという「世界最速のマランボ!」です。
 このテンポになるともう事実上は演奏不可能。でもバティスは気にしないで突っ走ります(^^;)。タンバリンが遅れようが、トランペットがヘロヘロになろうが、カスタネットが転ぼうが、オケ全体が崩壊しかけて6拍子の中の何拍目に音を入れているんだかさえ危なくなろうが、この「世界最速のマランボ」はひたすら突き進んでいくのです。
 まあ、バティスのことなので、ちゃんと聞かせどころは心得ています。ですが、やはりはじめにこれを聞くと「...変な曲」としか思わないんじゃないかなあ(NAXOSだから南米モノ入門としてこのCDを買う人が多そうで...)。

その他の収録曲
・モンカーヨ:ウアパンゴ
・レブエルタス:センセマーヤ
  ほか、中南米の小品いろいろ

「LATIN AMERICAN CLASSICS VOL.1」
[NAXOS 8.550838]

GAVOR OTVOS
Orquesta Filarmonica de Buenos Aires

1995, Buenos Aires

IV. 3:46

 このCD、「アルゼンチン音楽の全貌」という16枚からなるシリーズのうちの1枚。シリーズでは全部で160名ものアルゼンチンの作曲家が紹介されていますが、私の知っている名前は恥ずかしながらヒナステラとピアソラのみでした(^^;)。で、この二人を含む10人の作曲家の曲が、「1916-1922年生まれの作曲家の巻」に入っています。作曲家の生年はそろっていますが、作曲年代や楽器編成は多様で、曲はバラエティーに富んでいます。
 指揮者は名前からしてハンガリー系(OtvosのOにはウムラウトが付く)ですが、オケは地元のブエノスアイレス・フィルです。「マランボ」はライブ録音で収録されています。
 で、この演奏、なかなか「熱い」演奏です。まず弦楽器がすごく張り切ってザシザシ弾いているのがかっこいいです。特に伴奏の刻みで音を打楽器的にかなり短く切っていて、終始歯切れのよいリズムを聞かせています。
 打楽器も負けじと全体的に激しいリズムを聴かせていて、興奮度を高めています。でもところどころリズムや入りを間違えたり、トライアングルが無かったり、銅鑼をシンバルでやってたりもしています。でも不思議とダメっぽい雰囲気は感じません。きっと、このオケにとってこの曲はあまりにもなじみの曲なので、もうほとんど楽譜を見ないでノリで叩いているのでしょうか(^^;)。身内なんだから、ま、いっか、のような、テキトーだけど大らかな雰囲気を漂わせています。
 オケ全体もテンポが不安定だったり、縦線がずれていたりしますし、また弦と打にくらべて管、特にトランペットが弱くてやや情けないのですが、でも全体的に見れば「そんな細かいこと気にせずにみんなで盛り上がろうぜ」といった感じの熱い演奏になっており、さすが十八番のレパートリーのライブ演奏といえるでしょう。曲が終わった後のお客さんのすごい歓声が、それを物語っています。

その他の収録曲
・ヒナステラ:ピアノ・ソナタ第3番より
・ピアソラ:アディオス・ノニーノ
  ほか

「Panorama de la Musica Argentina:
Compositores nacidos entre 1916-1922
[COSENTINO IRCO 306]

LEIF SEGERSTAM
Helsinki Philharmonic Orchestra
1997, Helsinki
IV. 3:45

 北欧の巨人セーゲルスタムがヘルシンキ・フィルを振って「マランボ」を録音した....普通に考えたら全然結びつかない意外な組み合わせですね。でももっと面白いのはこのCDの企画自体です。「Earquake(耳震、とでも訳そうか)」と題されたこのアルバム、文字通り「耳をつんざくような」大音量の派手な曲がたくさん集められています。CDケースには耳栓まで入っています(←左上の黄色いやつね)。で、「マランボ」もそんな曲のうちの一曲として納められているわけです。なんだかなあ(^^;)。
 でも、アルバムの「トンデモ盤」的なノリとは裏腹に、「マランボ」のこの演奏は至って真面目、きっちりとまとまった演奏です。といっても決して燃えない演奏というわけではなく、最弱音で入る冒頭からラストの爆発にかけて、徐々にしっかり盛り上げてくれます(特に最後の銅鑼のロールの衝撃はすばらしいです)。

その他の収録曲
・ハンソン:交響曲第6番より
・ハチャトゥリャン:「ガイーヌ」山岳民族の踊り
  ほか(選曲はかなりマニアックでナイス!)。アルバムのメインは
・レイフス:ヘクラ(火山)
  ←22人の打楽器を含む究極の爆発的音楽!

「EARQUAKE」
[ONDINE ODE 894-2]

KEITH LOCKHART
Boston Pops Orchestra
2000, Boston
IV. 3:38

 ボストンポップスといえば、↑のフィードラーの伝統を汲むオケ。このCDのブックレットの裏にも、彼の写真とともに「ボストンポップスの伝統は続く...」なんて文句も載っています。で、この指揮者ロックハートは、フィードラー、ジョン・ウィリアムズに続くボストンポップス三人目の若き指揮者で、演奏会場には若い女性がカメラを持って群れをなすような人気なんだそうです(^^;)。このたび、このコンビによるラテンの曲を集めたCDが出ました。
 エスタンシアの「マランボ」はこのCDのオープニングを飾る曲として最初に収録されています。演奏ですが、ツボを押さえたキビキビした好演で、だらけるところもなく一気に気持ちよく聞かせてくれます。ただ、羽目を外すような演出とか熱狂ぶりはなく、個人的にはやや物足りなさも感じます。そつなくこなしている、という印象でしょうか。
 しかし!このCDの本領は、その他のポピュラー系ラテン曲にあるのです。メキシコ音楽やアンデス民族音楽の楽団を招き、「うーん、ラテンだ!」という世界を作ってくれています。時にはマンボで「ハ〜ッ、ウッ!」なんてアイノテが入ったり...。このCDには「マランボ」の他にも「エル・サロン・メヒコ」とかラテン系純クラシック音楽がいくつか入っていますが、無茶苦茶影が薄いです(^^;)。「マランボ」もこのアルバムの中ではまるっきり普通の曲に聞こえます。その演奏をここでとやかく言ってもしょーがないじゃん、という気分にさせられます。

その他の収録曲
・コープランド:エル・サロン・メヒコ
・モンカーヨ:ウアパンゴ
 その他、ポピュラー系(と思われる)曲をオーケストラにアレンジした、ラテン的名曲の数々!

「the Latin album」
[BMG 09026-63717-2]
INGO METZMACHER
Philharmonisches Staatsorchester Hamburg
2002, Hamburg
IV. 3:38

 「20世紀音楽なんか怖くない!」というシリーズの第四巻にあたるCD。このシリーズは現代音楽ファンにはすっかり有名ですね。メッツマッハー&ハンブルク国立フィルが毎年大晦日に開くジルベスター・コンサート。でもどこかのオケの客寄せ名曲コンサートとは異なり、20世紀の小品ばかりを演奏しようという超意欲的な企画です。「怖くない」の表題通り、20世紀音楽とはいってもわかりやすくて演奏効果の高い曲が集められており、全編「おお、こんな曲もあったのか」「全然知らなかったけど、すげーかっこいいじゃん」という感じで楽しめること請け合いです。
 さて、こうしたコンサートのうちの一曲として演奏された「マランボ」ですが、まずは「こなれている」という印象でしょうか。さすがに毎年コレ系の曲ばかり演奏して年を越すのが恒例となったオケだけあって、どのパートもなかなかの演奏技術と解釈を披露しています。ちょっと金管、特にトランペットが苦しげで、遊び心を示すまでの余裕がないのが残念。
 個人的には、この演奏会の木琴奏者はなかなかすごいと思います。この曲では、グリッサンドの最初と最後の#の音を見事に叩ききるという超絶技巧を聞くことができます(ちょっと聞き所がマニアックすぎかな^^;)。あとは最後の一発だけの銅鑼がすげーかっこいいです。この演奏に、この曲の銅鑼の理想型を見たような気がしました(ちょっとオーバー?)。
 このシリーズが今後もずっと続いていくことを期待したいですね。

その他の収録曲
・イベール:バッカナール
・シュールホフ:武器の踊り
・レブエルタス:センセマヤ
 その他20世紀のかっこいい小品が盛りだくさん!

「Who Is Afraid of 20th Century Music?
Volume 4」
[Philharmonishes Staatsorchester LC01039]

<DVD>

DANIEL BARENBOIM
Berliner Philharmoniker

1998, Berlin

IV. 3:35

 なんと、ベルリンフィルの演奏するマランボ!しかも映像付きだ!
 このDVDは、毎年夏にベルリンのヴァルトビューネで開かれる野外コンサートの記録です。野外コンサートだけあって、天下のベルリンフィルといえどもかなり気楽な感じ。客層もお気楽、雰囲気もお気楽です。この夜は「ラテン・アメリカン・ナイト」。その曲目は「ボレロ」「カルメン」「アランフェス」って、どこがラテンアメリカじゃあ?で、前半にこうした「なんとなくスペイン語圏を連想させる超有名曲」をやった後、後半はポピュラー色の強いラテンアメリカもの。まあ、お気楽野外コンサートならではの選曲といえるでしょうか。マランボは前半と後半の橋渡し的な位置づけかな。
 映像で見るベルリンフィルは、本当にいろいろな個性の人が集まっているんだなあ、という感じ。「マランボ」の演奏も、とっても真面目に演奏する人、笑みを浮かべながらノリノリで演奏する人、すました雰囲気で「余裕だね」って感じで演奏する人、ほんとうに奏者によって雰囲気が違うので、見ていてけっこう楽しめます。打楽器陣はカスタネット、タンバリン、小太鼓奏者がかなり燃えて演奏しているのが分かり、こちらもつられて興奮度がアップします(ノリについていけてないオジイサンもいるけど)。
 ただし全体の演奏については、この曲は練習は絶対1回通しただけだろうな、というのがバレバレです(^^;)。結構みんな、間違えたり落ちたりしています。しかも、それがアップになって映っちゃった場合もあります。指揮のバレンボイムは曲の最後の方を振っていませんが、これはオケにアンサンブルをゆだねているからなのか?もしかしたら、この曲がどこで終わるのかが分からなくなったんじゃないだろうな(爆)?でも、まあお気楽コンサートなんだから、堅いこと言うなよ、っていう雰囲気があるので、まあ全体的には素直に楽しめるといえるでしょう。

その他の収録曲
・ラヴェル:ボレロ
・ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
・ピアソラ:アディオス・ノニーノ
・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ
 ほか

「ヴァルトビューネ1998:
 ラテン・アメリカン・ナイト」
[Pioneer PIBC-1029]

 

 

 

ディスコグラフィー その1. <組曲版のCD>

ディスコグラフィー その2. <全曲版のCD>

ディスコグラフィー その4. <ピアノ版のCD>

ディスコグラフィー その5. <吹奏楽編曲版のCD>

ディスコグラフィー その6. <その他の編曲版のCD>

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